行政書士
財務コンサルタント
磯村 威暢
2,000万円の負債がある会社を復活させた財務管理力と、採用から資金繰り、設備投資まで、経営者として20年のキャリアで培った問題解決力を活かして中小建設業者の経営をトータルサポート。
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[建設業許可]
日本の建設業界は、今まさに深刻な人材不足の時代に突入しています。高齢化による技能者の引退が進む一方で、若手の技術者が十分に育っておらず、国内人材だけでは業界を支えきれない状況が続いています。こうした背景の中で、近年注目を集めているのが「特定技能外国人」の採用です。
しかし、特定技能外国人の採用には、日本人採用とは異なる多くのハードルが存在します。特に中小企業が多い建設業界では、その制度の理解不足が事業運営に大きな影響を与える可能性もあります。本記事では、建設業許可との関係性を踏まえながら、特定技能外国人の採用に関する重要なポイントを解説します。
目次
国土交通省の調査によると、建設技能者のうち60歳以上の技能者が全体の約4分の1を占めており、今後10年以内にその多くが引退すると見込まれています。一方で、29歳以下の若手技能者の割合はわずか12%程度にとどまり、世代交代が進まず人材の減少は加速しています。
この背景には、建設業の労働環境や働き方の課題があり、現在業界全体で働き方改革が進められています。週休二日制の導入や労働時間の短縮、福利厚生の充実など、若者が安心して働ける環境づくりが急務となっています。
現場の声を聞くと、解体工事や足場工事など比較的作業が単純な職種では、外国人労働者の割合が増加しています。これらの職種は、短期間で技術習得が可能であり、言語の壁も比較的低いため、外国人材の活用が進んでいます。 一方で、熟練技術が求められる職種では、依然として日本人技能者の割合が高く、外国人材の定着には時間と教育が必要です。こうした職種においては、長期的な育成計画が不可欠となります。
「特定技能外国人制度」は、2019年に創設された新しい在留資格制度で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、特定の業種で就労できる制度です。建設業はその対象業種の一つであり、技能実習制度とは異なり、より実務的な即戦力としての活用が期待されています。
特定技能には「1号」と「2号」があり、1号は最大5年間の就労が可能で、2号はより高度な技能を持つ者が対象となり、家族帯同も認められています。建設業においては、現時点では1号が中心ですが、今後2号への移行も視野に入れる企業が増えると予想されます。
特定技能外国人を採用するためには、まず「建設業許可」を取得していることが大前提です。許可を持たない事業者は、制度の利用ができません。これは、外国人労働者の保護と適正な労働環境の確保を目的とした制度設計によるものです。
建設業許可を取得するということは、社会保険、厚生年金、雇用保険などの加入が義務付けられ、労働環境の整備が求められます。
ごく稀に、実態と社会保障制度の加入状況が一致していない企業も見受けられますが、特定技能外国人の採用においては、こうした不備は許されません。
特定技能外国人の採用には、労働環境の整備だけでなく、住環境の整備も求められます。寮の確保や生活支援、通訳対応など、受け入れ体制の構築には一定のコストがかかります。
さらに、登録支援機関との契約も必要です。登録支援機関は、外国人材の受け入れから定着までをサポートする専門機関であり、契約費用や支援費用が発生します。これらを踏まえると、日本人を採用するよりも初期コストが高くなる可能性が高いです。
「安い労働力を確保するために外国人を採用する」という考え方は、制度の趣旨にも反しており、結果的に事業の持続可能性を損なうリスクがあります。
特定技能外国人の採用は、単なる人材確保ではなく、事業戦略の一環として位置づける必要があります。採用人数、職種、教育体制、支援機関との連携、住環境の整備など、総合的な事業計画を立てたうえで、財務的な無理が生じないように慎重に進めることが重要です。
特に中小企業においては、採用後の定着支援や教育体制が不十分なまま採用を進めてしまうと、早期離職やトラブルの原因となり、結果的にコスト増につながる可能性があります。
特定技能外国人の採用を成功させるためには、以下のようなステップを踏むことが重要です。
特定技能外国人の採用は、建設業界の人材不足を補う有効な手段である一方で、制度理解と準備が不十分なまま進めると、事業に大きな負担を与える可能性があります。
建設業許可の取得をはじめ、労働環境・住環境の整備、登録支援機関との連携、そして財務的な計画まで、総合的な視点で採用戦略を立てることが、成功の鍵となります。
今後、外国人材の活用はますます重要性を増していくと考えられます。だからこそ、「安く雇える」ではなく、「共に働き、育て、事業を支える仲間」として迎える姿勢が、企業の持続的成長につながります。
当事務所は、江戸川区・葛飾区を中心に東京の東地区で建設業の経営支援を行っています。 建設業許可の取得は単なる事務的手続きではなく、建設事業者にとって重要な経営戦略の一つと考えています。資金繰りや資金調達に関するご支援も行っておりますので、建設業の経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。(お問い合わせはコチラ)
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