行政書士
財務コンサルタント
磯村 威暢
2,000万円の負債がある会社を復活させた財務管理力と、採用から資金繰り、設備投資まで、経営者として20年のキャリアで培った問題解決力を活かして中小建設業者の経営をトータルサポート。
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[建設業許可]
約1年前、建設業法の改正により「専任技術者」という呼称が「営業所技術者」へと変更されました。しかし、この名称変更の背景や狙いを十分に理解している建設業許可業者は、まだ多くないのではないでしょうか。
なぜ今このテーマを取り上げるのか――それは、改正から1年が経過し、制度は定着しつつあるものの、現場では旧来の認識のまま運用されているケースが散見されるからです。誤解や不十分な対応は、許可更新や監査時に思わぬリスクを招く可能性があります。
本稿では、改正の背景を振り返りながら、営業所技術者制度の本質と実務上のポイントを整理し、今後の対応に役立つ情報をお届けします。
2024年12月の建設業法改正により、長年「専任技術者」と呼ばれてきた役職が「営業所技術者」へと名称変更されました。さらに、特定建設業では「特定営業所技術者」と区分され、両者を総称して「営業所技術者等」と呼びます。
この変更の背景には、従来の「専任技術者」という名称が持つ曖昧さがあります。専任という言葉は「その業務に専ら従事する」という意味を含みますが、営業所単位での責任範囲が明確に伝わりにくく、現場技術者との役割分担が不明確になるケースがありました。
そこで国土交通省は、営業所ごとに技術管理責任を担うことを明確化するため、名称を「営業所技術者」に変更しました。これにより、営業所単位での技術管理体制を強調し、許可制度との整合性を高める狙いがあります。
従来、営業所技術者(旧専任技術者)は、営業所に常勤し専らその職務に従事する必要があり、現場の主任技術者や監理技術者との兼務は原則禁止されていました。しかし、技術者不足や働き方改革への対応を背景に、改正で兼務条件が緩和されました。
【新たに認められる兼務条件の例】
・当該営業所で契約を締結した工事であること
・請負金額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)
・営業所と現場が1日で巡回可能な範囲(概ね移動時間2時間以内)
・ICT環境の整備(スマホ・タブレット・遠隔監視システム)
・連絡員の配置や施工体制の確認が可能な情報通信技術の導入
・下請次数が3次以内
これにより、営業所技術者が現場の主任技術者や監理技術者を兼務できるケースが広がり、技術者不足への対応や生産性向上が期待されています。
名称変更に伴い、営業所技術者の責任範囲がより明確になりました。従来は「技術的管理を行う者」という定義でしたが、改正後は「営業所における技術管理を専任で担う者」として整理されています。
【営業所技術者の主な役割】
・請負契約の技術的内容確認
・営業所における施工体制の整備
・現場技術者(主任・監理技術者)への技術的サポート
・許可業種に応じた適切な技術者配置
これにより、営業所技術者は「営業所の技術管理責任者」、現場技術者は「施工現場の管理責任者」という役割分担が明確化され、法令遵守体制の強化につながります。
営業所技術者になるための資格要件は基本的に従来と同じですが、表現や評価基準が整理されました。例えば、指定学科卒業+実務経験、国家資格(一級・二級施工管理技士、建築士など)、または10年以上の実務経験が必要です。
今回の改正は、単なる名称変更ではなく、建設業界の構造的課題に対応するための制度改革です。技術者不足や働き方改革、ICT活用による遠隔管理の普及など、業界を取り巻く環境変化に合わせて柔軟性を高める狙いがあります。
【企業が注意すべきポイント】
・営業所技術者の常勤性を証明する体制(出勤簿・社会保険加入状況)
・兼務を行う場合の条件確認と体制整備(ICT導入、連絡員配置)
・資格要件の最新情報の確認と人材育成計画
「専任技術者」から「営業所技術者」への名称変更は、営業所単位での技術管理責任を明確化し、現場との役割分担を整理する重要な改正です。兼務条件の緩和やICT活用による柔軟な管理体制は、技術者不足に悩む企業にとって大きなチャンスとなります。
今後は、営業所技術者の役割を正しく理解し、法令遵守と生産性向上を両立する体制づくりが求められます。制度改正を単なる「名称変更」と捉えるのではなく、企業の競争力強化につなげることが重要です。
当事務所は、江戸川区・葛飾区を中心に東京の東地区で建設業の経営支援を行っています。 建設業許可の取得は単なる事務的手続きではなく、建設事業者にとって重要な経営戦略の一つと考えています。資金繰りや資金調達に関するご支援も行っておりますので、建設業の経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。(お問い合わせはコチラ)
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