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[持続可能な経営支援]

中小企業は絶対に作った方がいい『資金繰り表!』

  • 投稿:2025年05月24日
中小企業は絶対に作った方がいい『資金繰り表!』

中小企業経営者の中には、「うちは利益が出ているはずなのに、なぜかいつも資金繰りに苦労している…」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは決して珍しいことではありません。なぜなら、損益計算書上の利益と、会社に実際にあるお金の流れは必ずしも一致しないからです。多くの企業経営者が損益計算書の数字に注目しますが、中小企業においては、日々の現金の動きを正確に把握することが生命線と言っても過言ではありません。もし、このお金の流れを把握することを怠れば、黒字倒産という最悪の事態を招く事さえあります。
そして、この複雑なお金の流れを可視化し、未来の資金状況を予測するための強力な武器となるのが『資金繰り表』です。月次の試算表だけでは見えてこない、真の資金状況を把握するために、資金繰り表は中小企業にとって絶対に欠かせないツールと言えるでしょう。
しかし、この重要な経営ツールを活用している中小企業は決して多くありません。そこで本稿では、資金繰りの悩みを解決し、経営を強力にサポートする『資金繰り表』について、その作成方法から活用方法、そして経営にもたらす様々なメリットまで、詳しく解説してまいります。

資金繰り表とは

はじめに、『資金繰り表』について解説していきます。資金繰り表とは、一般的に月単位や日単位といった一定期間における会社のリアルなお金の流れ、つまり収入と支出を詳細に記録し、予測・管理するための重要な経営ツールです。損益計算書が収益と費用に着目し、会計上の利益を示すのに対し、資金繰り表は実際に入金や支払いがいつ、どれくらい発生するのかを明確にします。

資金繰り表と聞くと、複雑で専門的なイメージを持たれるかもしれませんが、その本質は会社の家計簿のようなものです。日々の営業活動はもちろん、設備投資や借入金の返済など、あらゆるお金の動きを記録することで、会社の現預金の残高がどのように推移するのかを把握できます。この表をきちんと管理することで、月初にあったお金が月末にどれだけ増えたのか、あるいは何が原因で減ってしまったのかが一目瞭然となります。

一方、損益計算書は、その期間に会社がどれだけの利益を上げたのか(儲かったか)を確認するための財務諸表であり、収益から費用を差し引いた結果を示します。そのため、仮に損益計算書を毎月詳細にチェックしたとしても、会社に今実際にいくらお金があるのか、そしてそのお金が具体的にどのように増減したのかといった、リアルタイムな資金の状況までは把握することができません。資金繰り表は、損益計算書では見えないお金の動きを捉え、会社の安全な運営に不可欠な情報を把握することができます。

メリット① お金の流れを可視化できる

では、資金繰り表を作成することで得られる具体的なメリットについて詳しく解説していきましょう。まず、最も重要なメリットとして挙げられるのが、会社のお金の流れを明確に「見える化」できるということです。資金繰り表を丁寧に作成することで、いつ、どのような名目で、どれくらいの現金が入金され、またいつ、どのような支払いがいくら発生するのかが手に取るように分かります。

これにより、冒頭でご紹介した中小企業経営者が抱える共通の悩み、「損益計算書では利益が出ているはずなのに、なぜか資金繰りがいつも苦しい」という状況が、一体どのような理由で起こっているのかを具体的に突き止めることが可能になります。例えば、売掛金の回収が遅れているのか、借入金の返済が負担になっているのかなど、お金がない真の原因を特定できます。

お金がない原因が曖昧なままでは、効果的な対策を講じることはできません。しかし、資金繰り表によって問題点が明確になれば、あとは具体的な解決策を実行していくだけです。例えば、売掛金の回収条件を見直したり、借入金の借換えを行い毎月の返済額を減らすといった対策を講じることで、資金繰りの改善を着実に進めていくことができます。

このように、資金繰り表の作成は、単にお金の出入りを記録するだけでなく、資金繰り改善に向けた第一歩となる非常に重要な効果をもたらします。

メリット② 的確な投資判断が可能となる

続いて2つ目のメリットは、データに基づいた的確な投資判断が可能になるという点です。資金繰り表なしで経営を行っていると、将来的にどれくらいの資金的な余裕が生まれるのか、あるいは投資によって資金繰りがどのように変化するのかを正確に予測することが困難です。そのため、「今は利益が出ているから大丈夫だろう」といった、どうしても勘や過去の経験に頼った不確実な投資判断になりがちです。結果として、本当に必要な投資を見送ってしまったり、逆に資金繰りを悪化させるような無理な投資をしてしまったりする可能性があります。

しかし、資金繰り表を作成し、将来の資金の流れを予測できるようになると、手元資金の状況や今後の入金予定、支出予定を具体的に把握することができます。これにより、「いつまでに、どれくらいの資金を投資に回せるのか」「この投資を行うことで、将来の資金繰りにどのような影響が出るのか」といった点を、具体的なデータに基づいて冷静に判断することが可能になります。根拠のある投資判断は、無駄な支出を避け、将来の成長につながる戦略的な投資を後押ししてくれます。

メリット③ 必要な売上高が明確になる

3つ目のメリットは、会社が目標とするべき必要な売上高が明確になるという点です。中小企業の中には、売上高の目標設定を「対前年比10%増」といったように、過去の成長率や経営者の願望に基づいて設定しているケースが少なくありません。しかし、もしこのような目標売上が、将来のキャッシュフローを綿密に把握せずに設定されたものだった場合、たとえ売上高が目標通りに10%伸びたとしても、実際には必要なキャッシュが確保できていないという事態に陥る可能性があります。

例えば、売上が増加しても、借入金の返済を考慮していなければ、手元に残る現金は期待したほど増えないかもしれません。その結果、頑張って売上を伸ばした従業員に対して、十分な賞与を支払うことができず、逆に会社への不信感を抱かせてしまう可能性すらあります。

しかし、資金繰り表を作成し、将来の入金と支出を詳細に予測することで、会社として最低限確保しておきたい現金の残高から逆算して、必要な売上高を明確に把握することができます。「この水準の現金を維持するためには、毎月これだけの売上が必要だ」という具体的な目標値が示されることで、売上目標が単なる数字の羅列ではなく、会社の存続と成長に不可欠な指標となります。これにより、より現実的な売上目標を設定することができるようになります。

メリット④金融機関との良好な関係構築

最後の、そして重要なメリットとして、資金繰り表を作成し適切に活用することで、金融機関との間に良好な信頼関係を築くことができる点が挙げられます。多くの中小企業が、事業運営において金融機関からの融資を活用している現状を考慮すると、融資を実行している金融機関にとって、融資した資金がどのように適切に管理され、将来にわたって無理なく返済される見込みがあるのかは、常に重要な関心事です。

そこで、定期的に(例えば毎月または四半期に一度)、試算表といった財務諸表と合わせて詳細な資金繰り表を金融機関に提出することは、その会社の健全な財務状況と資金管理能力を具体的に示す強力なアピールとなります。金融機関は、この資金繰り表を通じて、会社の短期的な資金繰りの安定性だけでなく、将来的な返済能力についても客観的に評価することができるため、信頼感が高まります。

さらに、新たな融資を申し込む際には、過去の資金繰りの実績と将来の予測を盛り込んだ資金繰り表を提出することで、融資によって事業がどのように成長し、その結果、安定した返済原資がどのように確保できるのかを具体的に示すことができます。これは、金融機関にとって融資判断を下す上で非常に重要な情報となり、融資交渉を有利に進める上で大きな武器となるでしょう。資金繰り表は、単なる社内管理ツールとしてだけでなく、金融機関との円滑なコミュニケーションを図り、良好な関係を築くための重要な架け橋となります。

まとめ

さて、今回は中小企業が資金繰り表を作成することの多岐にわたるメリットについて、詳しく解説してまいりました。

多くの経営者の方々は、損益計算書における利益に目を向けがちですが、会社経営の本質は、たとえ一時的に赤字が計上されたとしても、手元のキャッシュが途絶えない限り事業を継続できるという点にあります。つまり、企業経営において、日々の、そして将来の「お金の流れ」を正確に把握しておくことは、事業の安定と成長に不可欠な要素です。

そして、この複雑なお金の流れを、比較的容易かつ正確に把握するための強力なツールこそが『資金繰り表』です。資金繰り表を活用することで、どんぶり勘定からの脱却を図り、データに基づいた経営判断が可能となり、ひいては企業の持続的な発展に大きく貢献します。まだ資金繰り表を作成されていない経営者の皆様は、ぜひこの機会にその導入と活用をご検討ください。

もし、今回ご紹介した資金繰り表の作成や、それを通じた「黒字なのにおカネがない」という状態の解消に向けた取り組みに不安がある場合は、財務の専門家にご相談ください。専門家は、資金繰り表の作成支援はもちろんのこと、その分析に基づいた具体的な改善策のご提案や、継続的な運用に関するサポートを提供することができます。資金繰りの改善は、企業経営の安定化に不可欠です。専門家の知識と経験を借りることも、賢明な選択肢の一つと言えるでしょう。

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