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[持続可能な経営支援]

「資金使途違反」を決して甘く見てはいけない!

  • 投稿:2025年08月01日
「資金使途違反」を決して甘く見てはいけない!

多くの中小企業の経営者の皆様は、日々の事業運営において金融機関からの融資を活用されていることと思います。しかし、「資金使途違反」という言葉をご存知でしょうか。これは、金融機関から融資を受けた資金を、当初の目的とは異なる用途に使用することを指します。この事実が発覚した場合、現在だけでなく将来にわたって金融機関との取引に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
本稿では、中小建設業の経営者の皆様が「資金使途違反」について理解し、意図せずとも違反を犯してしまう事態を避けるための具体的な情報を提供いたします。

資金使途とは何か?

まず、資金使途とは、金融機関から融資を受ける際のお金の使い道を指します。中小企業が金融機関から融資を受ける際の資金使途は、大きく分けて「設備資金」「運転資金」の2種類に分類されます。

  • 設備資金: 機械や車両などの購入資金がこれに該当します。建設業においては、重機やトラック、クレーン車などの購入費用が代表的な例です。
  • 運転資金: 日々の会社運営に必要な資金を指し、人件費や家賃、材料費、外注費などがこれにあたります。

実際の融資申し込みの場面では、日頃から取引のある金融機関に融資を申し込む場合など、「設備資金」や「運転資金」といった区分を意識せずに申し込んでいるケースもあるかもしれません。しかし、それぞれの資金がどのような目的に使われるべきか、明確に理解しておくことが極めて重要です。

「設備資金」の資金使途違反の具体例

建設業において「設備資金」の融資を受ける場合、その使途は比較的明確であると考えられます。例えば、トラックを購入するために融資を受けた場合、その資金使途は「設備資金」となります。

しかし、以下のようなケースでは、資金使途違反とみなされる可能性がありますので注意が必要です。

  • 目的外利用: トラック購入のために借りた資金を、従業員のボーナスの支払いに充ててしまった場合。これは最も分かりやすい資金使途違反の例です。
  • 異なる物件の購入: 融資を受ける際に銀行に申し出ていた車両とは別の車両を購入した場合。例えば、Aという特定のダンプカーの購入を申請していたにもかかわらず、実際にはBという別のユンボを購入したようなケースです。
  • 余剰資金の他用途利用: 銀行にあらかじめ提出していた見積書よりも安い金額で車両を購入し、その浮いたお金で別の機械工具を購入した場合。見積書との差額が生じた場合でも、その余剰資金を当初の目的以外の用途に充てることは資金使途違反となります。また、建設機械の購入では、中古と新品の価格差や、交渉による値引きなどで、見積もりと実際の購入金額に差が生じることもあります。この場合も、差額の使途には注意が必要です。

設備資金は、融資申込時に購入する車両や機械の見積書などを提出するため、比較的資金使途違反が起こりづらいとされています。しかし、上記のようなケースがあることを認識し、細心の注意を払う必要があります。

「運転資金」の資金使途違反の具体例

設備資金に比べて、運転資金は使い道が多岐にわたるため、資金使途違反が発生する可能性が高くなります。建設業における運転資金は、人件費、材料費、外注費、燃料費など多岐にわたります。

以下に、運転資金の資金使途違反の主な例を挙げます。

  • グループ会社・子会社への流用: 融資を受けた資金をグループ会社や子会社の運営に充てること。これは、融資を受けた企業自身の事業運営とは異なるため、資金使途違反となります。
  • 役員への貸付: 借り入れた資金を会社の役員に貸し付けること。これは会社の資金を個人の利益のために使用することになるため、厳しく禁じられています。
  • 株式等の投資: 借りた資金を株式やその他の投資に回すこと。事業運営とは直接関係のない投機的な行為に資金を充てることは、資金使途違反となります。
  • 過度な役員報酬・賞与: 会社の業績や一般的な水準から著しくかけ離れた高額な役員報酬や賞与に充てることも、実質的な資金流用とみなされる可能性があります。

運転資金は資金の使い道が比較的曖昧になりがちであるため、安易な誘惑から資金使途違反を犯してしまうケースが意外と多いのが実情です。日々の資金繰りに追われる中で、つい「一時的に別の用途に使ってしまおう」と考えてしまうこともあるかもしれませんが、それが大きな問題へと発展する可能性を認識しておくべきです。

資金使途違反が発覚した場合の金融機関の対応

金融機関は、資金使途違反を「非常に重大なルール違反」と見なします。そのため、違反が発覚した場合には、以下のような厳しい対応がとられる可能性があります。

  • 融資金の一括返済要求: 融資された資金の全額について、一括での返済を求められる可能性があります。これは、多くの中小企業にとって非常に大きな負担となり、資金繰りが一気に悪化する原因となります。
  • 今後の融資困難: 資金使途違反を行ったという事実は金融機関に記録として残るため、今後その金融機関からの融資は一切受けられなくなる可能性があります。一度失われた信用を取り戻すことは極めて困難です。
  • 信用保証協会からの保証停止: もしその融資が信用保証協会の保証付き融資だった場合、当面の間、保証付き融資が利用できなくなる可能性があります。信用保証協会の保証は、多くの中小企業にとって金融機関からの融資を受ける上で不可欠な要素であり、これが使えなくなることは事業継続に重大な影響を及ぼします。

これらの結果、中小企業は重大な経営危機に追い込まれる可能性があり、最悪の場合、事業継続が困難になることも考えられます。

資金使途違反を避けるための対策

中小建設業の経営者の皆様が、資金使途違反を未然に防ぎ、健全な経営を続けるためには、資金使途とは異なる新たな資金ニーズが発生した場合は、安易に資金を流用するのではなく、必ず事前に金融機関に相談しましょう。状況によっては、資金使途変更の承認や、追加融資の検討など、適切な解決策を提案してもらえる可能性があります。隠れて資金使途違反を行うのではなく、正直に相談することが信頼関係を維持する上で不可欠です。

まとめ

資金使途違反は、たった一度の「うっかり」や「魔が差した」という気持ちから発生するものであっても、そのマイナスの影響は計り知れません。金融機関からの信頼を失い、今後の資金調達に大きな障害を残すだけでなく、最悪の場合、事業の継続すら危うくなる可能性があります。中小建設業の経営者の皆様には、本稿で述べた資金使途違反の具体例と、その発覚によるリスクを深くご理解いただき、日々の資金管理において細心の注意を払っていただくことを強くお勧めいたします。適切な資金管理と金融機関との良好な関係維持こそが、貴社の安定的な成長と発展の礎となります。決して資金使途違反を犯すことのないよう、健全な経営を心掛けましょう。

当事務所では、建設業許可の取得支援に加え、資金繰りや資金調達に関するコンサルティングも行っております。建設業の経営に関するお悩みがございましたら、専門的な視点からご支援いたしますので、お気軽にご相談ください。(お問い合わせはコチラ

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