
行政書士
財務コンサルタント
磯村 威暢
2,000万円の負債がある会社を復活させた財務管理力と、採用から資金繰り、設備投資まで、経営者として20年のキャリアで培った問題解決力を活かして中小建設業者の経営をトータルサポート。
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[建設業許可]
建設業許可を維持するためには、「経営業務の管理責任者(以下、経管)」が常に在籍している必要があります。特に中小建設業者では、社長が経管を兼ねているケースが多く、社長の引退がそのまま経管の不在につながる可能性があるため、注意が必要です。
本記事では、経管の役割と要件、そして社長引退に伴う経管交代の準備について、実務的な視点から詳しく解説します。
目次
経管は、建設業許可制度の根幹を支える存在です。建設業は公共性が高く、社会インフラを支える重要な業種であるため、許可制度においては「経営体制の安定性」が重視されます。その安定性を担保するのが、経管の存在です。
経管が在籍していることで、行政は「この会社は建設業を継続的に営む能力がある」と判断します。逆に言えば、経管が不在になると、許可の維持ができなくなり、事業そのものが停止するリスクすらあります。中小企業では、経管=社長という構図が一般的ですが、これは「経営の実態」と「許可制度上の要件」が一致しているからです。しかし、社長が引退するとなると、この一致が崩れ、許可制度上の要件を満たせなくなる可能性が出てきます。
経管になるためには、原則として「建設業に関する経営経験が5年以上あること」が求められます。この「経営経験」は、単なる現場経験や管理職経験ではなく、会社の経営に関与した実績を指します。
最も確実な証明方法は、取締役として登記されていることです。履歴事項証明書に記載されていれば、行政側も客観的に判断できます。
しかし、実務上は「実質的に経営に関与していたが、登記はされていない」というケースも少なくありません。たとえば、社長の右腕として経営判断に関与していた専務や部長などです。こうした方が経管候補になる場合、社内資料(議事録、業務日報、給与体系など)を用いて証明する必要がありますが、これは非常に難易度が高く、審査に時間がかかる上、結果が不確定です。
そのため、将来的に経管候補となる可能性がある方は、早めに取締役登記をしておくことが、最も現実的な準備となります。
社長が引退を考え始めたとき、まず検討すべきは「後継者が経管要件を満たしているかどうか」です。ここを見落とすと、社長交代はできても、建設業許可の維持ができないという事態に陥ります。
たとえば、後継者が社長に就任する予定でも、取締役としての登記期間が5年未満であれば、経管として認められません。すると、建設業許可の更新や変更届が出せず、最悪の場合、許可が失効するリスクもあります。
このような事態を避けるためには、社長引退の数年前から、後継者を取締役として登記し、経管要件を満たす準備を始める必要があります。これは単なる形式的な登記ではなく、実際に経営に関与させることで、将来的な証明資料としての厚みも増します。
経管交代は、社長交代以上に慎重な準備が求められます。なぜなら、経管の不在は建設業許可の根幹を揺るがすからです。
準備のポイントは以下の通りです:
建設業者にとって、社長の引退は大きな節目ですが、それ以上に「経管の交代」が事業継続に直結する重要なテーマです。経管が不在となれば、建設業許可の維持ができず、事業そのものが停止するリスクがあります。 だからこそ、社長引退を見据えた段階で、後継者の経管要件を満たす準備を始めることが不可欠です。登記のタイミング、証明資料の整備、許可変更の手続きなど、やるべきことは多岐にわたりますが、早めに動くことでスムーズな事業承継が可能になります。 「社長が引退するから、経管も変える」ではなく、「経管を変える準備が整ったから、社長が引退できる」という順序で考えることが、建設業者としての安定経営につながるのです。
当事務所では、建設業許可の取得は単なる事務的手続きではなく、建設事業者にとって重要な経営戦略の一つと考えています。資金繰りや資金調達に関するご支援も行っておりますので、建設業の経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。(お問い合わせはコチラ)
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