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[建設業許可]

中小建設業者が見落としがちな「経管交代」の落とし穴

  • 投稿:2025年08月18日
中小建設業者が見落としがちな「経管交代」の落とし穴

建設業許可を維持するためには、「経営業務の管理責任者(以下、経管)」が常に在籍している必要があります。特に中小建設業者では、社長が経管を兼ねているケースが多く、社長の引退がそのまま経管の不在につながる可能性があるため、注意が必要です。
本記事では、経管の役割と要件、そして社長引退に伴う経管交代の準備について、実務的な視点から詳しく解説します。

経管とは建設業許可の「屋台骨」を担う存在

経管は、建設業許可制度の根幹を支える存在です。建設業は公共性が高く、社会インフラを支える重要な業種であるため、許可制度においては「経営体制の安定性」が重視されます。その安定性を担保するのが、経管の存在です。

経管が在籍していることで、行政は「この会社は建設業を継続的に営む能力がある」と判断します。逆に言えば、経管が不在になると、許可の維持ができなくなり、事業そのものが停止するリスクすらあります。中小企業では、経管=社長という構図が一般的ですが、これは「経営の実態」と「許可制度上の要件」が一致しているからです。しかし、社長が引退するとなると、この一致が崩れ、許可制度上の要件を満たせなくなる可能性が出てきます。

「実質的な経営者」では足りない、証明の壁

経管になるためには、原則として「建設業に関する経営経験が5年以上あること」が求められます。この「経営経験」は、単なる現場経験や管理職経験ではなく、会社の経営に関与した実績を指します。

最も確実な証明方法は、取締役として登記されていることです。履歴事項証明書に記載されていれば、行政側も客観的に判断できます。

しかし、実務上は「実質的に経営に関与していたが、登記はされていない」というケースも少なくありません。たとえば、社長の右腕として経営判断に関与していた専務や部長などです。こうした方が経管候補になる場合、社内資料(議事録、業務日報、給与体系など)を用いて証明する必要がありますが、これは非常に難易度が高く、審査に時間がかかる上、結果が不確定です。

そのため、将来的に経管候補となる可能性がある方は、早めに取締役登記をしておくことが、最も現実的な準備となります。

「社長交代」はできても「経管交代」はできない?

社長が引退を考え始めたとき、まず検討すべきは「後継者が経管要件を満たしているかどうか」です。ここを見落とすと、社長交代はできても、建設業許可の維持ができないという事態に陥ります。

たとえば、後継者が社長に就任する予定でも、取締役としての登記期間が5年未満であれば、経管として認められません。すると、建設業許可の更新や変更届が出せず、最悪の場合、許可が失効するリスクもあります。

このような事態を避けるためには、社長引退の数年前から、後継者を取締役として登記し、経管要件を満たす準備を始める必要があります。これは単なる形式的な登記ではなく、実際に経営に関与させることで、将来的な証明資料としての厚みも増します。

「引退できない社長」を生まないために

経管交代は、社長交代以上に慎重な準備が求められます。なぜなら、経管の不在は建設業許可の根幹を揺るがすからです。

準備のポイントは以下の通りです:

  1. 後継者の選定と育成
    単に社長の座を譲るだけでなく、経管としての要件を満たすよう、経営経験を積ませる必要があります。
  2. 取締役登記のタイミング
    5年の経営経験が必要なため、最低でも5年前には登記しておくことが理想です。
  3. 証明資料の整備
    登記以外の証明が必要な場合は、業務日報、議事録、給与体系などを整備しておくことが重要です。
  4. 行政との事前相談
    経管交代に関する手続きは、行政書士などの専門家を通じて、事前に行政と相談しておくことで、スムーズに進められます。

まとめ(経管交代は「社長交代以上に慎重に」)

建設業者にとって、社長の引退は大きな節目ですが、それ以上に「経管の交代」が事業継続に直結する重要なテーマです。経管が不在となれば、建設業許可の維持ができず、事業そのものが停止するリスクがあります。                                  だからこそ、社長引退を見据えた段階で、後継者の経管要件を満たす準備を始めることが不可欠です。登記のタイミング、証明資料の整備、許可変更の手続きなど、やるべきことは多岐にわたりますが、早めに動くことでスムーズな事業承継が可能になります。              「社長が引退するから、経管も変える」ではなく、「経管を変える準備が整ったから、社長が引退できる」という順序で考えることが、建設業者としての安定経営につながるのです。

当事務所では、建設業許可の取得は単なる事務的手続きではなく、建設事業者にとって重要な経営戦略の一つと考えています。資金繰りや資金調達に関するご支援も行っておりますので、建設業の経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。(お問い合わせはコチラ)

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