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[建設業許可]

建設業許可の技術者要件を「10年実務経験」で満たすことの難しさとは?

  • 投稿:2025年09月02日
  • 更新:2025年09月04日
建設業許可の技術者要件を「10年実務経験」で満たすことの難しさとは?

建設業許可の取得は、建設業者にとって事業拡大や信頼性向上のための重要なステップです。許可を得るためには、「ヒト・モノ・カネ」に関する要件を満たす必要がありますが、中でも「ヒト」に関する要件の一つである営業所技術者の確保は、許可取得の成否を左右する重要なポイントです。
営業所技術者の要件を満たす方法には複数の選択肢がありますが、特に「10年の実務経験」で証明する方法は、想像以上にハードルが高く、準備不足では申請が通らない可能性もあります。本記事では、その難しさと、企業としてどのように戦略的に対応すべきかについて詳しく解説します。

営業所技術者とは?なぜ必要なのか

営業所技術者とは、建設業を営む上で技術的な裏付けとなる人材であり、建設業許可を取得するすべての事業者に配置が義務付けられています。営業所ごとに1名以上の専任技術者を置く必要があり、この人物が技術的な責任を担うことで、事業者としての信頼性が担保される仕組みです。

技術者要件を満たす3つの方法

営業所技術者としての「技術的裏付け」は、以下の3つのいずれかで証明する必要があります。

  1. 国家資格の保有
    例:一級建築士、施工管理技士など。資格証のコピーを提出するだけで済むため、最もスムーズな方法です。
  2. 指定学科卒業+実務経験
    指定された学科を卒業し、一定年数の実務経験がある場合も要件を満たします。
  3. 10年以上の実務経験
    国家資格や指定学科卒業がない場合、10年以上の実務経験で証明することも可能です。ただし、これが非常に難しいのです。

「10年実務経験」での証明が難しい理由

書類の整備が必要不可欠

「10年実務経験」での証明には、口頭の説明ではなく、客観的な証拠資料が求められます。主な証明資料は以下の通りです:

  • 請負契約書や請書
  • 請求書
  • 入金の確認ができる通帳の写し

これらの資料を原則120か月分(10年分)揃える必要があります。自治体によっては「1年に1件」や「3か月に1件」などのローカルルールがあるものの、基本的には長期間にわたる証明が求められます。

請求書の内容が不十分なケースが多い

特に中小の専門工事業者では、契約書や請書を取り交わしていないケースが多く、請求書と通帳だけで証明しようとすることが一般的です。しかし、請求書の記載内容が「工事一式」など曖昧な場合、どの業種の工事かが特定できず、証明資料として認められないことがあります。

そのため、請求書には「〇〇工事」「〇〇設備設置工事」など、具体的な工事内容が記載されている必要があります。これを10年分遡って確認する作業は、非常に手間がかかります。

書類の保管状況がカギを握る

10年前の請求書や通帳を保管している企業は少なく、書類の紛失や不備があると、さらに過去に遡って資料を探す必要があります。実際に、私が支援した企業では、10年分では足りず16年分の資料を遡ってようやく証明ができたというケースもありました。

このように、10年実務経験での証明は、単なる「経験年数」ではなく、「証明できるかどうか」が問われるのです。

技術者要件の証明は「戦略的」に準備すべき

建設業許可の取得は、単なる手続きではなく、企業の成長戦略の一環です。特に営業所技術者の確保は、許可取得の成否を左右する重要な要素であり、どの方法で証明するかを事前に戦略的に検討する必要があります

国家資格の取得を視野に入れる

最も確実でスムーズなのは、国家資格を取得することです。もちろん、資格取得には時間と労力がかかりますが、長期的に見れば最も安定した方法です。

有資格者の採用も選択肢に

自社で資格取得が難しい場合は、有資格者を採用するという選択肢もあります。ただし、採用には人件費や採用コストがかかるため、財務的な裏付けと計画性が求められます。

実務経験証明を選ぶ場合の注意点

どうしても実務経験で証明する必要がある場合は、早い段階から証明資料の整備を始めることが重要です。請求書の記載内容を見直し、通帳との紐付けを明確にしておくことで、将来的な許可申請時にスムーズな対応が可能になります。

まとめ:10年実務経験での証明は「最後の手段」

10年実務経験での技術者要件の証明は、決して不可能ではありませんが、非常に高いハードルがあることを理解しておく必要があります。書類の整備状況によっては、膨大な時間と労力がかかるため、可能であれば国家資格の取得や有資格者の採用を優先的に検討すべきです。 建設業許可の取得は、企業の信頼性を高め、受注の幅を広げる大きなチャンスです。だからこそ、技術者要件のクリアは「戦略的に」「計画的に」取り組むことが、成功への近道となるでしょう。

当事務所では、建設業許可の取得は単なる事務的手続きではなく、建設事業者にとって重要な経営戦略の一つと考えています。資金繰りや資金調達に関するご支援も行っておりますので、建設業の経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。(お問い合わせはコチラ)

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