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[持続可能な経営支援]

資金調達でファクタリングを利用することの危険〜建設業経営者が知っておくべき落とし穴〜

  • 投稿:2025年10月06日
資金調達でファクタリングを利用することの危険〜建設業経営者が知っておくべき落とし穴〜

建設業は、資金繰りが難しい業種の代表格です。外注費や材料費などの支出が先行し、売上の入金が遅れる構造のため、工事にかかった費用を一時的に立て替えるような状態が常態化しています。入金が翌月であればまだ良い方で、翌々月、あるいはそれ以上先になることも珍しくありません。
こうした状況の中で、資金繰りに追い込まれた社長が「緊急的な資金調達手段」として選択するのが、ファクタリングです。金融機関からの短期融資(手形貸付など)に比べて手続きが簡単で、スピーディに資金調達ができるというメリットがあります。しかし、ファクタリングには見過ごせないリスクが潜んでいます。
本記事では、ファクタリングの仕組みとメリット・デメリットを整理し、建設業経営者が陥りがちな落とし穴について解説します。

ファクタリングとは?

ファクタリングとは、売掛債権(=売掛金)をファクタリング会社に譲渡することで資金を調達する手法です。融資ではなく、債権の売却という位置づけになります。つまり、借金ではないため、信用情報に傷がつくことはありません。

この点だけを見ると「便利な資金調達手段」と思われがちですが、実際には多くの注意点があります。

ファクタリングには主に以下の2種類があります。

  • 3社間ファクタリング
  • 2社間ファクタリング

それぞれの特徴と注意点を見ていきましょう。

3社間ファクタリングの仕組みとリスク

3社間ファクタリングは、売掛先(取引先)に債権譲渡の承諾を得たうえで、ファクタリング会社から資金を受け取る仕組みです。債権の譲渡が取引先に通知されるため、取引先との間に「信用不安」が生じる可能性があります。

たとえば、「この会社は資金繰りが厳しいのでは?」という印象を与えてしまい、今後の取引に支障をきたすこともあり得ます。建設業では、元請との信頼関係が非常に重要です。信用不安が広がることで、受注機会の減少や契約解除といったリスクにもつながりかねません。

また、取引先によっては債権譲渡に難色を示すケースもあり、承諾が得られずファクタリング自体が成立しないこともあります。つまり、3社間ファクタリングは「信用を犠牲にして資金を得る」手法とも言えるのです。

2社間ファクタリングの仕組みとリスク

一方、2社間ファクタリングは、売掛先に通知せず、利用企業とファクタリング会社の間だけで契約を結ぶ方法です。取引先に知られずに資金調達ができるため、信用不安のリスクは軽減されます。

しかし、2社間ファクタリングには高額な手数料がかかります。一般的には10%前後の手数料が必要で、利益率が高くない建設業においては、売上の10%が消えることで利益がほとんど残らない、あるいは赤字になる可能性すらあります。

さらに、2社間ファクタリングでは「債権譲渡登記」が行われるため、将来的に金融機関から融資を受ける際に「登記が残っている=資金繰りが厳しい会社」と見なされ、融資審査に悪影響を及ぼすこともあります。

実際に、ある中小建設業者では、2社間ファクタリングを繰り返した結果、金融機関からの融資が断られ、資金繰りがさらに悪化したという事例もあります。短期的な資金調達が、長期的な信用を損なうリスクを孕んでいるのです。

ファクタリングのメリット

もちろん、ファクタリングには一定のメリットもあります。最大の利点は、資金調達のスピードです。

金融機関からの融資では、手形貸付であっても1〜2週間程度の審査期間が必要ですが、ファクタリングであれば、早ければ数日、遅くても2週間程度で資金が手元に入ります。緊急の資金ニーズに対応できる点は、確かに魅力的です。

また、信用情報に影響を与えないため、既存の借入枠を使い切っている企業でも利用可能です。資金調達の選択肢が限られている企業にとっては、最後の手段として機能することもあります。

ただし、この「スピード感」は、あくまで一時的な対処であり、根本的な資金繰り改善にはつながりません。

ファクタリング利用時の注意点

ファクタリングを利用する際には、以下の点に注意が必要です。

1. 信用不安リスク(特に3社間)

2. 高額な手数料(2社間・3社間共通)

3. 債権譲渡登記による将来の融資への影響(2社間)

4. 繰り返し利用による資金繰りの悪化

5. ファクタリング会社の信頼性の確認

特に建設業では、利益率が低いため、手数料負担が経営を圧迫する可能性があります。また、ファクタリングを繰り返すことで、資金繰りがさらに悪化する「負のスパイラル」に陥るケースもあります。

さらに、ファクタリング会社の中には、契約内容が不透明だったり、過剰な手数料を請求する業者も存在します。契約前には、複数社を比較し、契約書の内容を十分に確認することが不可欠です。

代替手段と予防策

ファクタリングに頼らずに資金繰りを改善するためには、以下のような取り組みが有効です。

  • 資金繰り表の作成と運用
  • 支払サイトの見直し(外注先との交渉)
  • 売掛金の回収強化(早期回収の仕組みづくり)
  • 金融機関との関係構築(定期的な情報提供)

特に、資金繰り表の運用は、資金ショートの予兆を早期に察知するための基本です。月次・週次での資金の流れを可視化することで、事前に対策を打つことが可能になります。

まとめ:ファクタリングに頼らない経営体制を

ファクタリングは、緊急時の資金調達手段として一定の役割を果たしますが、長期的な視点ではデメリットの方が大きい手法です。

建設業経営者としては、日頃から資金繰り表を作成・運用し、将来の資金ショートを事前に察知できる体制を整えることが重要です。資金繰りの見える化ができていれば、ファクタリングに頼る前に、金融機関との交渉や支出の見直しなど、他の選択肢を検討する余地が生まれます。

「資金調達は、準備がすべて」と言っても過言ではありません。ファクタリングに頼らざるを得ない状況になる前に、日々の資金管理を徹底し、健全な経営体制を築いていきましょう。

当事務所では、建設業許可の取得は単なる事務的手続きではなく、建設事業者にとって重要な経営戦略の一つと考えています。資金繰りや資金調達に関するご支援も行っておりますので、建設業の経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。(お問い合わせはコチラ)

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