行政書士
財務コンサルタント
磯村 威暢
2,000万円の負債がある会社を復活させた財務管理力と、採用から資金繰り、設備投資まで、経営者として20年のキャリアで培った問題解決力を活かして中小建設業者の経営をトータルサポート。
CONTENTS
[売上アップ支援]
建設業界は、一般的に「利益率が低い業界」と言われています。国土交通省が公表している「建設業を取り巻く主な情勢(2023年度)」によると、建設業全体の売上高営業利益率の平均は約3.8%。企業規模別に見ると、大企業が約4.2%、中小企業は約2.5%と、規模が小さいほど利益率が低い傾向にあります。
さらに、国交省の「建設業許可業者数調査(令和4年3月末現在)」によれば、資本金1,000万円以下の会社が全体の約66.4%を占めており、建設業者の多くが中小規模であることが分かります。これは、建設業許可を受けている業者に限定したデータですが、未許可業者を含めればさらに高い割合になる可能性もあります。
つまり、建設業を営む会社の約7割以上が、低い利益率に悩んでいるという現実があるのです。
では、どうすれば利益率を改善できるのでしょうか?その第一歩は、「原価率の正確な把握」にあります。本記事では、原価率の見方と改善のヒントについて、実務的な視点から解説していきます。
目次
まずは、原価率の定義を確認しましょう。
建設業における原価率とは、売上高(完成工事高)に対してどれだけの原価(材料費、外注費、工事人件費、工事車両費など)が掛かったかを示す指標です。原価率を低く抑えられれば、利益の源泉となる売上総利益(粗利)を高く保つことができます。
・売上高 − 工事原価 = 売上総利益(粗利)
・(原価 ÷ 売上高)×100=原価率(%)
つまり、原価率を意識し、コントロールすることが利益を生み出すうえで重要な要素となります。
しかし、多くの中小建設業者が、自社の原価率を正確に把握できていないのが現状です。その理由の一つが、「工事原価報告書(製造原価報告書)」の未作成、または不正確な作成です。
決算書を見れば一目瞭然ですが、工事原価報告書を作成していない会社は意外と多く、作成していても内容が不十分なケースが少なくありません。これでは、自社が工事でどれだけ利益を生み出しているかが分からず、経営判断が曖昧になってしまいます。
例えば、「工事で利益が出ていると思っていたが、正確に原価を計上したら思ったほど利益が出ていなかった」というケースは珍しくありません。こうしたギャップを埋めるためにも、まずは正確な工事原価報告書の作成が不可欠です。
では、どうすれば正確な工事原価報告書を作成できるのでしょうか?
まずは、顧問税理士に作成を依頼することが基本です。ただし、税理士任せにするのではなく、毎月の原価情報を正確に提供することが重要です。
具体的には、以下のような情報を整理して税理士に渡す必要があります。
・工事に従事する従業員の給与や福利厚生費を分けて記録する
・工事用車両の車両費・交通費を分ける
・工事に必要な保険料を分ける
・材料費や外注費を工事ごとに明確に区分する
これらのルールを税理士と共有し、月次で情報提供することで、精度の高い工事原価報告書が作成できるようになります。
正確な工事原価報告書ができたら、次はその内容を精査します。材料費、外注費、人件費などの各項目をチェックし、無駄な支出がないかを見直しましょう。
このときのポイントは、「比率の大きな項目からチェックする」ことです。例えば、外注費が全体の50%を占めている場合、ここを5%削減できれば、全体の利益率に大きなインパクトを与えます。一方、比率が2〜3%の項目を削減しても、効果は限定的です。
また、過去の数値と比較することで、どの項目が年々増加しているかを把握しやすくなります。知らず知らずのうちに膨らんでいた経費を見つけることができれば、それだけでも改善の余地があります。
原価率の改善は、一度の見直しで終わるものではありません。定期的なチェックと改善のサイクルを回すことが重要です。
理想的には、3か月に1回のペースで工事原価報告書をチェックし、改善点を洗い出すことをおすすめします。決算後の年1回の見直しでは、タイミングが遅すぎて手遅れになることもあります。
定期的なチェックを習慣化することで、原価率の向上はもちろん、経営の安定化にもつながります。
原価率の改善は、単なる数字の見直しではなく、経営者自身の意識改革が求められる取り組みです。特に中小建設業者の場合、現場の忙しさに追われて経営数値の確認が後回しになりがちですが、数字を見ない経営は「勘と経験」に頼った経営になってしまいます。
数字を見て、改善点を見つけ、次のアクションを決める。このサイクルを回すことで、経営は徐々に安定し、利益率も向上していきます。原価率の見える化は、経営者が「数字に強くなる」ための第一歩でもあります。
また、原価率の改善は、社員や協力業者との関係性にも影響を与えます。無理なコスト削減ではなく、適正な原価管理を行うことで、信頼関係を損なわずに利益体質を築くことが可能です。
建設業における利益率改善の第一歩は、「原価率の見える化」です。
・原価率とは、工事本業でどれだけ利益を生み出しているかを示す指標
・多くの中小建設業者が原価率を正確に把握できていない
・工事原価報告書の作成と精査が利益改善の鍵
・比率の大きな項目から見直すことで、効率的な改善が可能
・定期的なチェックを習慣化することで、継続的な利益向上が実現できる
中小建設業者が利益率を高めるためには、まずは自社の数字を「見える化」することが何よりも重要です。原価率の把握と改善は、地道な作業ですが、確実に経営の質を高める一歩となります。
当事務所は、江戸川区・葛飾区を中心に東京の東地区で建設業の経営支援を行っています。 建設業許可の取得は単なる事務的手続きではなく、建設事業者にとって重要な経営戦略の一つと考えています。資金繰りや資金調達に関するご支援も行っておりますので、建設業の経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。(お問い合わせはコチラ)
関連記事
CONTACT
ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問合せください。
専門スタッフが丁寧に対応いたします。
対応地域
東京都:
江戸川区・葛飾区・台東区・墨田区・江東区・足立区・荒川区