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[建設業許可]

「営業所技術者・主任技術者・監理技術者の違いを、実務目線で整理する」

  • 投稿:2025年12月06日
「営業所技術者・主任技術者・監理技術者の違いを、実務目線で整理する」

建設業法には「営業所技術者」「主任技術者」「監理技術者」という3つの技術者区分があります。名称は知っていても、どの場面で誰が必要なのか、兼務の可否、工事経歴書への記載など、実務で迷いやすい点は少なくありません。とくに許可業者は毎年の決算変更届で「工事経歴書」に主任技術者・監理技術者を記載しますから、役割の違いは明確にしておきたいところです。
本記事では、各技術者の位置づけと、現場での判断のポイントについて詳しく解説いたします。

営業所技術者(=専任技術者)とは

営業所技術者は、許可を受けた「営業所ごと」に配置する専任の技術者です。

役割は、当該営業所で扱う工事についての技術的な管理と、契約に関する基本的な適正性を担保すること。要件は業種ごとに定められ、指定資格学歴+実務経験実務経験年数などの組み合わせで満たします(どの業種の許可かによって充足の仕方が異なります)。

ポイントは「営業所に常勤」であること。したがって、原則として現場の長時間常駐を要する業務と同時並行で担うのは難しく、営業所における専任性が確保されていることが求められます。

主任技術者とは

主任技術者は、工事現場ごとに必ず配置が必要な技術者です。施工体制の要であり、品質・工程・安全等の技術的な管理を現場レベルで担います。

配置の基本は「現場への専任」。すなわち、当該現場の施工管理に必要な時間・頻度で関与できる体制が求められます。

資格要件は、営業所技術者(専任技術者)の資格要件とほぼ同じで、工事の種類に応じた指定資格や実務経験で満たします。

監理技術者とは

監理技術者は、より高いレベルの施工体制が必要な場合に配置する現場技術者で、主任技術者の上位概念です。

典型的には、特定建設業者が下請けに発注する総額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる工事を請け負う場合に、監理技術者の配置が義務付けられます。しかも、この義務は元請工事業者に課されます。

資格要件は二段階です。

 ①まず、1級の国家資格(例:1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士など)や、指定された学歴と実務経験など、建設業法で定める技術資格のいずれかを満たす必要があります。

 ②次に、「監理技術者資格者証」の交付を受け、監理技術者講習を修了することが必須です。

監理技術者は、複数の下請を含む工事全体を技術的に統括し、品質・安全・工程管理を総合的に担います。現場専任が原則であり、施工体制台帳や下請指導など、書類と運用の両面で体制を整えることが求められます。

3者の違いをまとめると

【配置の場所】

営業所技術者:営業所単位(社内)

主任技術者:工事現場単位(現場)

監理技術者:工事現場単位(現場・統括)

【求められる専任性】

営業所技術者:営業所への常勤(専任)

主任技術者:当該現場への専任

監理技術者:当該現場への専任(統括管理)

このように、営業所技術者は“会社側の体制”を担保する人、主任・監理技術者は“現場の体制”を担保する人と覚えると整理しやすくなります。

工事経歴書で迷わないための記載のコツ

決算変更届の「工事経歴書」には、当該工事を実際に施工管理した自社の現場技術者を記載します。元請であれ下請であれ、自社の技術者(主任または監理)を正しく記入するのが基本です。

よくある誤りは、元請(他社)の監理技術者名を記載してしまうケース。あくまで「自社が配置した現場技術者」を記載する、という原則を徹底する必要があります。

営業所技術者が主任技術者を兼務できるか?

実務で頻出するのが兼務の可否です。結論から言うと、

原則は不可(営業所の専任性が損なわれるため)

・ただし、工事が軽微で現場への長時間の常駐や頻繁な出張が不要、かつ営業所の常勤性が実質的に確保されるなど、専任性を実質担保できる例外的な場面は、所轄への確認を前提に兼務が成り立つ余地があります。

ここで重要なのは、「兼務そのものの可否」よりも、専任性を崩していないか・体制の実効性が保たれているかという観点です。実務上は、以下の点をチェックしましょう。

・営業所における日常業務(契約・見積・技術的相談対応など)を、兼務であっても継続安定的に回せるか

・現場に必要な管理(品質・工程・安全・下請指導など)を、必要な頻度と時間で担保できるか

・複数現場の掛け持ちが発生していないか、発生する場合は実効性ある代替体制(副担当/ICTによる管理補完/定期巡回の明確な計画 等)があるか

・兼務期間・工事の規模・距離感を含め、専任性の説明資料(体制図、勤務スケジュール、現場巡回記録 等)を用意できるか

上記は「専任義務の趣旨」を外さないための実務の着眼点です。兼務判断で迷った場合は、早めに専門家や所轄窓口へ相談することをおすすめします。

まとめ:体制図を描ける会社は、審査にも現場にも強い

3者の役割は、会社(営業所)と現場の“二層構造”を健全に保つための仕組みです。

営業所技術者は会社の技術的な土台、主任・監理技術者は現場の技術的な柱。両者がそれぞれの専任性を保ち、必要に応じて連携できる体制を整えることが、許可の維持・更新、工事品質、リスク低減のすべてに効いてきます。まずは自社の体制図(営業所/現場/下請の関係、役割分担、書類運用)を簡潔に描き、工事経歴書の記載ルールと合わせていつでも説明できる状態をつくっておきましょう。

当事務所は、江戸川区・葛飾区を中心に東京の東地区で建設業の経営支援を行っています。   建設業許可の取得は単なる事務的手続きではなく、建設事業者にとって重要な経営戦略の一つと考えています。資金繰りや資金調達に関するご支援も行っておりますので、建設業の経営に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。(お問合せは公式LINEより)

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