行政書士
財務コンサルタント
磯村 威暢
2,000万円の負債がある会社を復活させた財務管理力と、採用から資金繰り、設備投資まで、経営者として20年のキャリアで培った問題解決力を活かして中小建設業者の経営をトータルサポート。
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[持続可能な経営支援]
建設業の経営は、一見すると「案件をしっかり受注し、現場を確実に進めれば安定する」ように思われがちです。しかし実際には、受注量や利益率以前に“資金の流れ”に左右される側面が大きく、特に中小企業ではその影響が顕著です。
工事が動けば材料が必要になり、協力会社への外注費も発生し、現場が増えれば人手も増える。つまり、現場が順調に進んでいるほど「先にお金が出ていく」構造になっています。一方で、工事代金の入金は契約条件や検収手続きによって後ろにずれ込むのが一般的で、現場の進行スピードと資金の戻り方が一致しません。
この“タイミングのズレ”こそが、中小建設業の経営を揺さぶる最大の要因です。本稿では、工事代金の入金タイミングがなぜこれほど重要であり、どのようにリスクを引き起こすのか。その理由を掘り下げつつ、現実的で実践可能な対応策について解説します。
目次
建設業では、工事請負契約が成立した時点で売上は“将来の約束”として決まりますが、現金が入ってくるのはずっと後です。多くの工事で請求は出来高または完成後であり、その後に検収・承認を経て、さらに支払サイト(30日・45日・60日など)を待つ必要があります。
一方で支払いは待ってはくれません。外注費は出来高に合わせて発生し、主要材料も発注時に支払い義務が生じます。人件費、重機のリース料、保険料など固定的に出ていくお金も少なくありません。「現場が動く=出金の加速」という構造が本質です。
つまり建設業の経営は、利益よりも早く現金が出ていき、利益よりも遅く現金が戻ってくる。ここに根本的なリスクが存在しています。
大手企業であれば、手元資金に厚みがあり、複数案件をまとめて吸収する余力があります。しかし中小企業では、資金のクッションが薄く、一つの案件の遅れが会社全体の資金繰りに影響を与えかねません。
多くの中小企業は、外注費や材料費の支払いを短期借入で賄い、工事代金が入金されたタイミングでその借入を返済する、というサイクルを繰り返しています。これは決して珍しいことではありません。
しかし、このサイクルの中で入金が1〜2週間遅れるだけでも、返済日・給与支払日・外注支払日が重なるタイミングでは資金繰りがひっ迫します。そうすると、追加の短期資金が必要となり、結果的に返済負担が増え、さらに資金繰りが厳しくなるという悪循環に陥りやすくなります。
“黒字倒産”が建設業に多い理由はまさにここにあり、損益が良好でもキャッシュが不足すれば会社は立ちゆかなくなります。
では、入金が遅れると何が起こるのでしょうか。
これは単なる「お金が入ってこない」という話では済みません。入金遅延は、いくつもの連鎖的な問題を引き起こします。
まず、返済や給与、外注費など、避けることのできない支出が押し寄せる“資金の谷”が生まれます。資金が足りなければ短期借入に頼る必要があり、会社としての返済負担が増えることになります。
協力会社との関係悪化も重要な問題の一つです。建設業は協力会社との信頼関係が命です。支払いに遅れが出ると、信用が損なわれ、急な条件変更や人員確保の困難など、現場運営にすぐ影響します。
さらに金融機関においても、“入金が読めない会社”という印象を持たれると、融資姿勢は慎重になります。資金需要が発生しても柔軟な支援が受けられない可能性も高まり、会社としての自由度が損なわれます。
つまり、入金遅延は経営全体を揺るがす引き金になりかねません。
根本的に建設業の入金が遅くなりがちなのは構造的な問題ですが、その中でも工夫次第で改善できる余地があります。
例えば出来高請求の頻度を月1回から月2回に増やすだけでも、入金のタイミングは大幅に改善します。また、検収の承認プロセスをスムーズにするために、写真帳票を標準化したり、出来高資料を電子化したりすることで、検収から支払確定までの時間を短縮できます。
大型案件であれば、契約段階で着手金を交渉することも有効です。全額後払いと比べて資金の安定性は劇的に向上します。
経営者が“資金が戻る速度”という視点を持ち、営業段階から入金サイクルを意識することが大きな差につながります。
入金と出金のタイミングのズレは、現場がどれだけ順調に進んでいても避けられません。大切なのは、この“ズレ”がいつ・どの程度発生するのかを事前に察知することです。そのために役立つのが、資金繰り表による“未来の資金の見える化”という視点です。
資金繰り表というと、「複雑で細かい表を作らなければいけない」「数字が苦手だから難しそう」という印象を持つ経営者も少なくありません。しかし、本来の目的は精緻な管理ではなく、“危険なタイミングを早めに知るためのツール”として使うことにあります。
たとえば、「今月の支払いはどれくらい発生するのか」「来月の入金はいつなのか」「そのタイミングで資金が足りるのか」といった、資金の山と谷を把握するだけでも、経営判断の質は大きく変わります。建設業では現場の出来高と資金のタイミングが一致しないため、このギャップを視覚的に把握できるだけで、入金の遅れや支払いの集中に先手を打つことができます。
重要なのは、経営者が“資金の予測”に目を向けることであり、それが資金ショートのリスクを最小限に抑えるための最も効果的な方法と言えます。
建設業の経営において、大切なのは“現金の動き”です。現場が順調でも、入金が遅れれば資金ショートは簡単に起こります。中小企業にとって入金と出金のズレは致命的になり得るため、資金サイクルの把握と改善は避けて通れません。
入金を早める工夫、出金を整える提案、協力会社との信頼構築、そして資金の未来を見える化する仕組み――これらを丁寧に積み上げることで、資金繰りの不安は大きく減少します。資金が安定すれば、経営判断の幅は広がり、会社として次のステージへ踏み出す余力が生まれます。
資金繰りは、会社の“生命線”です。
その生命線を守るために、入金タイミングを意識し、出金をコントロールし、未来の資金を見える化する習慣を身につける。これこそが、中小建設業が安定的に成長していくための最も堅実な経営の第一歩と言えるでしょう。
当事務所は、江戸川区・葛飾区を中心に東京の東地区で建設業に専門特化し、許可取得から経営改善までワンストップでサポートするのが大きな特長です。 一般的な行政書士が許認可代行に留まる中、当事務所は許可取得後の成長戦略まで踏み込みます。20年以上の経営経験と、税理士・社労士・金融機関など必要な専門家ネットワークをワンストップで繋ぎ、経営課題を解決します。(お問合せは公式LINEより)
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