行政書士
財務コンサルタント
磯村 威暢
2,000万円の負債がある会社を復活させた財務管理力と、採用から資金繰り、設備投資まで、経営者として20年のキャリアで培った問題解決力を活かして中小建設業者の経営をトータルサポート。
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[持続可能な経営支援]
建設業を営むうえで、金融機関との関係は切っても切り離せない存在です。特に中小建設業では、支払いが先行する事業構造から自己資本が厚くないケースも多く、運転資金や設備投資、突発的な資金需要に対応するためには、銀行からの支援が事業継続の前提条件になることも少なくありません。 そのため、「銀行と良好な関係を築くこと」は営業活動や現場管理と同じくらい重要な経営課題と言えます。そして、その関係性を左右する最大の材料が「決算書」です。 本記事では、銀行が建設会社の決算書をどのような視点で見ているのか、特に重要視されるポイントを押さえながら、「好印象を与える決算書」とはどのようなものかを解説していきます。
目次
決算書というと、一般的には損益計算書と貸借対照表の2つを指しますが、この2つは似ているようで役割がまったく異なります。 損益計算書は、ある一期、つまり1年間の経営成績を示す書類です。その期間にどれだけ売上を上げ、どれだけ利益を出したのかが端的に表れます。一方で貸借対照表は、創業以来の経営の積み重ねの結果を示す書類です。過去の利益や損失がすべて蓄積され、現在の会社の体力が可視化されます。 この違いを踏まえると、損益計算書は一時的な要因で好転することもありますが、貸借対照表は一朝一夕では改善しないことが分かります。銀行が貸借対照表を重視する理由は、会社の「継続性」や「耐久力」を判断するためです。だからこそ、毎期少しずつでも利益を積み上げていく経営が重要になります。
銀行が損益計算書を見る際、最初に注目するのは営業利益です。営業利益は、本業そのものがどれだけ利益を生み出す力を持っているかを示す指標であり、建設業においても極めて重要な数字です。 もし営業利益が継続的に赤字であれば、工事の受注単価や原価管理、あるいは事業構造そのものに問題があるのではないかと銀行は考えます。こうした状態が続くと、融資姿勢はどうしても慎重にならざるを得ません。 一方で、本業でしっかりと営業利益を確保できていれば、固定資産の売却など一時的な要因で経常利益や当期純利益がぶれたとしても、銀行はそれほど神経質になりません。「本業が健全である」という評価は、銀行にとって最大の安心材料になるのです。
貸借対照表でまず確認されるのは、右下に記載されている純資産の金額です。純資産は、これまでの経営の結果として会社にどれだけの内部留保が残っているかを示します。 最低限、この数字はプラスであることが求められます。純資産がマイナス、いわゆる債務超過の状態であれば、過去に積み重ねた損失をまだ解消できていないことを意味し、銀行からの格付け評価は極めて厳しくなります。 銀行は「これまでどのような経営をしてきた会社なのか」を純資産から読み取ります。その意味で、純資産は会社の信用力と健全性を象徴する数字と言えるでしょう。
純資産がプラスであれば、それだけで銀行の評価が高まるわけではありません。次に確認されるのが、貸借対照表の左側、資産の内容(実在性)です。特に建設業特有の科目には、経営の透明性が色濃く反映されます。
まず注目されるのが完成工事未収金です。この金額が売上高の2か月分から3か月分程度に収まっていれば、資金回収が適切に行われていると判断されます。逆に売上規模に対して過大であれば、回収遅延や、最悪の場合は架空計上の疑念を持たれる可能性があります。
また、建設業の決算書で最も「管理の質」を問われるのが未成工事支出金(仕掛品)です。これは進行中の現場に投入された原価ですが、銀行はここを「赤字工事の隠し場所」になっていないかという視点で見ています。 本来、工事が完了すれば、この支出金は「完成工事原価」として費用化されます。しかし、利益を良く見せるために、完了した現場の原価をあえて資産(未成工事支出金)に残したままにするケースが散見されるからです。 この金額が不自然に膨らまず、個々の現場進捗と整合性が取れていることは、現場管理と経理処理が正しく連動している証拠となります。資産の中身が健全(=実態がある)であるかどうかは、表面的な純資産の数字以上に重要な評価ポイントになります。
貸借対照表の右上、負債の部も銀行が注視するポイントです。かつては借入総額が「月商の何ヶ月分か」という指標も多用されましたが、現在の銀行実務では、より本質的な「返済能力」が厳しくチェックされます。
その代表的な指標が「債務償還年数」です。これは、本業で生み出したキャッシュフロー(営業利益+減価償却費)で、現在の借入金を何年で完済できるかを算出したものです。一般的に、建設業においては10年以内がひとつの目安とされており、これを超える水準になると「返済負担が重い会社」として警戒されやすくなります。
借入金そのものが悪いわけではありません。大切なのは、自社の「稼ぐ力」に見合った借入水準であるかどうかです。適正な利益を出し、実態に基づいた無理のない返済計画が示されている決算書は、銀行にとって非常に安心感があり、結果として「好印象」に繋がります。
建設会社が銀行から好印象を得るためには、単に黒字であれば良いというわけではありません。本業で安定的に利益を出し、その結果として健全な貸借対照表を築いているかどうかが問われます。 決算書は、銀行に会社の現状と将来性を伝えるための重要なコミュニケーションツールです。数字の意味を理解し、自社の言葉で説明できる状態を整えることが、結果として資金調達力の強化につながります。 日々の現場管理や受注活動と並行して、「銀行からどう見られているか」という視点を持つことが、これからの建設会社経営には欠かせないと言えるでしょう。
当事務所は、江戸川区・葛飾区を中心に東京の東地区で建設業に専門特化し、許可取得から経営改善までワンストップでサポートするのが大きな特長です。 一般的な行政書士が許認可代行に留まる中、当事務所は許可取得後の成長戦略まで踏み込みます。20年以上の経営経験と、税理士・社労士・金融機関など必要な専門家ネットワークをワンストップで繋ぎ、経営課題を解決します。(お問合せは公式LINEより)
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