2,000万円の負債がある会社を復活させた財務管理力と、採用から資金繰り、設備投資まで、経営者として20年のキャリアで培った問題解決力を活かして中小建設業者の経営をトータルサポート。
[建設業許可]
建設業許可はヒト・モノ・カネの充足を証明する
- 投稿:2024年11月10日
建設業許可を取得するための要件は、一見複雑で難しく感じるかもしれませんが、実際にはそれほど難しくありません。経営の三原則である「ヒト・モノ・カネ」に関する明確な基準が規定されており、まずはその要件を満たすことが求められます。
この記事では、一般建設業許可を取得するための要件を「ヒト・モノ・カネ」の視点から解説します。
経営の三原則とは
経営の三原則とは、「ヒト・モノ・カネ」の3つの要素を指します。ヒトは適切な人材の確保を意味し、企業の成長と安定に直結します。モノは必要な設備や技術を整えることで、効率的な生産やサービス提供を可能にします。カネは資金管理と財務の健全性を確保し、企業の持続的な成長を支えます。これらの要素をバランスよく管理することが、経営の成功に繋がります。そして、行政機関は、事業者に建設業許可を与える以上、その事業者が末永く存続することを望んでいるため、経営の三原則である「ヒト・モノ・カネ」について明確な基準を設けています。
ヒトに関する要件
建設業許可を取得するためには、建設業の経営全般を統括できる人と、技術的な能力を備えた人、この二人を必ず設置しなければなりません。前者を経管(経営業務の管理責任者)、後者を専技(専任技術者)と呼びます。経管は、建設業で5年以上の役員経験を有する必要があり、専技は国家資格を有するか、または希望する業種で10年以上の実務経験を有する必要があります。経管は、企業の経営戦略を立案し、事業の方向性を決定する重要な役割を担います。一方、専技は、現場での技術的な指導や管理を行い、品質の高い施工を実現するために欠かせない存在です。これにより、事業者は経営と技術の両面で安定した運営が可能となります。
ヒトに関する欠格要件
経管が以下の要件に該当している場合、建設業許可を受けることができないため注意が必要です。まず、破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合です。次に、禁固刑以上の刑に処され、その刑の執行が終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年が経過していない場合です。また、暴力団員であるか、暴力団員でなくなった日から5年が経過していない場合も該当します。これらの要件を満たしていないと、許可を受けることができませんので、十分に注意してください。
モノに関する要件
建設業許可においてモノにあたるのが事務所に関する要件です。まず、事務所は建設工事に関する実務を行っていることが必要です。具体的には、建設工事の請負契約や見積り等を常時行っていることが求められます。事務所には机や椅子、電話、パソコンなどの事務機器が備わっていることが必要です。また、居住部分や他の会社とは明確に仕切られた独立したスペースであることが重要です。事務所の使用権原(自己所有または賃貸契約など)を確保し、外部から建設業を営んでいることが認識できる看板や標識を設置する必要があります。これらの条件を満たすことで、建設業許可の取得が可能となります。
カネに関する要件
最後はおカネに関する要件です。純資産が500万円以上あるか、または銀行通帳に500万円以上の残高があるかのいずれかを満たす必要があります。純資産を資本金と混同している方がいるのですが別物です。純資産は決算書の右下に記載があるので決算書を見ればすぐに確認できます。また通帳残高については、常に500万円を維持する必要はありません。一時的にでも500万円以上の残高があることを証明できれば、要件を満たすことができます。例えば、銀行の残高証明書を提出することで、一時的な残高を証明することが可能です。
まとめ
今回は、一般建設業許可の取得要件を「ヒト・モノ・カネ」という観点から見てきました。このように整理すると、少し分かりやすくなったのではないでしょうか。しかし、これらの要件を証明するためには多くの書類が必要となります。忙しい仕事の合間を縫ってこれらの書類を準備するのは、かなり難易度が高い作業です。こうした場合には、専門家に依頼するのも一つの方法です。