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[持続可能な経営支援]

中小建設業が「一行取引」であることの危険性 ~会社を守るために今こそ考えたい複数行取引の重要性~

  • 投稿:2026年08月25日
中小建設業が「一行取引」であることの危険性 ~会社を守るために今こそ考えたい複数行取引の重要性~

建設業の経営支援をしていると、融資について相談を受ける機会が少なくありません。その中で意外と多いのが、「長年同じ金融機関とだけ取引している」という一行取引のケースです。
社長の中には、「一つの金融機関と長く付き合うことが誠実な経営だ」「他の銀行に相談するのは義理を欠く」と考えている方もいらっしゃいます。しかし、その考え方は会社の資金調達という観点では必ずしも正しいとは言えません。
特に資金繰りが経営の生命線となる中小建設業において、一行取引は想像以上に大きなリスクを抱えています。
本記事では、一行取引がなぜ危険なのか、そして中小建設業が複数の金融機関と取引することの重要性について考えていきます。

実は多い建設業者の一行取引

建設業は地域密着型の事業が多く、創業時から付き合いのある信用金庫や地方銀行と長年取引を続けているケースが少なくありません。
特に小規模な建設業者では、「創業時に融資してくれたから」「支店長と長い付き合いだから」「他行に相談する必要を感じないから」といった理由で、一行取引のまま経営していることがあります。
もちろん、信頼関係のある金融機関を持つこと自体は悪いことではありません。むしろ非常に重要です。
しかし問題なのは、その金融機関しか選択肢がない状態です。
建設業は一般的な業種と比較して資金需要が大きくなりやすい業種です。人件費の先払い、外注費、材料費の支払い、機械設備への投資など、まとまった資金が必要になる場面が頻繁にあります。
また、公共工事では完成後の入金まで時間が空くこともあり、利益が出ていても資金繰りが厳しくなるケースがあります。
そのような業種でありながら、一つの金融機関しか資金調達先がない状態は、非常に危うい経営体制と言えます。

一行取引は金融機関にとっても重荷になる

意外と知られていませんが、一行取引は金融機関側にとっても必ずしも歓迎される状態ではありません。
例えば、ある建設会社の借入残高が5,000万円あるとします。そのすべてを一つの金融機関が融資している場合、その金融機関は会社の信用リスクを単独で負担することになります。
もし業績が悪化した場合、その影響を直接受けるのはその金融機関です。
そのため金融機関側から見れば、「できれば他行にも一部融資してもらいたい」「リスクを分散したい」という考えを持つことも少なくありません。
実際、会社の成長に伴い必要資金が大きくなると、一つの金融機関だけでは対応しきれなくなるケースもあります。
金融機関は地域企業を支援する存在である一方、預金者から預かった資金を管理する立場でもあります。そのため、融資先が増えれば増えるほどリスク管理の視点が重要になります。
つまり、一行取引は企業側が思っているほど金融機関にとって理想的な状態ではないのです。
むしろ複数の金融機関が協力して融資を行うほうが、金融機関側にとっても健全な融資体制と言える場合があります。

「一つの銀行だけと付き合う方が誠実」という勘違い

一行取引の社長からよく聞く言葉があります。
「他の銀行に相談したら失礼ではないですか?」
「長くお世話になっているので他行と取引しにくいです」
しかし、この考え方には大きな誤解があります。
金融機関同士は企業が複数行と取引していることを特別なことだとは考えていません。むしろ、一定規模以上の企業であれば複数行取引が当たり前です。
金融機関が本当に評価するのは、自社の経営状況を適切に開示し、誠実なコミュニケーションを続けることです。
複数の金融機関と取引しているから不誠実ということはありません。
むしろ経営者の立場から考えれば、一つの金融機関だけに依存することの方がリスクと言えます。
例えば、急な大型案件を受注した場合や設備投資の必要が生じた場合、一行取引しかなければ融資の可否は一つの金融機関の判断に左右されます。
しかし複数行取引であれば選択肢が広がります。
融資条件を比較することもできますし、それぞれの金融機関から異なる提案を受けることも可能です。
これは金融機関への不義理ではなく、会社を守るための当然の経営判断なのです。

メインバンクとサブバンクを持つ意味

複数行取引といっても、すべての金融機関と同じ深さで付き合う必要はありません。
理想的なのは、メインバンクとサブバンクを持つことです。
メインバンクは、日常的な取引や主要な融資を依頼する金融機関です。会社の状況を最も理解してもらい、経営相談もできる存在となります。
一方でサブバンクは、有事の備えであり将来の選択肢です。
例えば信用金庫をメインバンクとして取引しながら、地方銀行や日本政策金融公庫とも関係を築いておくという考え方です。
普段から口座を開設し、試算表を提出し、定期的に情報交換をしておけば、いざ資金が必要になった際にもスムーズに相談できます。
金融機関との関係は一朝一夕では構築できません。
資金が必要になった時だけ相談に行くよりも、平時から関係を作っておくことが重要です。
その意味でサブバンクは、単なる予備ではなく会社を守る保険のような存在と言えます。

複数行取引は会社を守るための経営戦略

建設業は景気変動や受注状況の影響を受けやすく、近年は人件費の上昇や資材価格の高騰など経営環境も厳しさを増しています。
このような環境の中で、一つの金融機関だけに依存することは、会社の生命線を一本しか持たないことと同じです。
複数行取引を行うことで、資金調達の選択肢が広がります。また、金融機関ごとに異なる情報や経営アドバイスを得られるというメリットもあります。
さらに、金融機関同士が適度な競争環境にあることで、融資条件や対応面でより良い提案を受けられる可能性も高まります。
特に建設業では、資金不足によって利益の出る案件を受注できないことが最大の機会損失です。
融資を受けられなかったことで受注を断念するような事態は、何としても避けなければなりません。
複数行取引は単なる融資テクニックではなく、会社の成長機会を確保するための経営戦略なのです。

まとめ:~守るべきは金融機関との関係ではなく会社の未来~

一行取引は一見すると信頼関係が強く、安定した取引のように見えます。しかし、その実態は金融機関への依存度が高く、資金調達の選択肢を狭める危険な状態でもあります。
大切なのは金融機関への忠誠心ではありません。
経営者が最優先で守るべきなのは、自社の存続と成長です。
そのためには、信頼できるメインバンクを持ちながらも、複数の金融機関との関係を築いておくことが重要です。
もし現在一行取引であるならば、まずは地域の信用金庫、信用組合、地方銀行、日本政策金融公庫などとの情報交換から始めてみてはいかがでしょうか。
複数行取引は金融機関を増やすことが目的ではありません。
「どのような環境変化が起きても資金調達できる体制を整えること」
それこそが、建設業経営者に求められる本当のリスク管理であり、会社の未来を守るための重要な経営判断と言えるでしょう。

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いそむら行政書士事務所は、江戸川区・葛飾区を中心に東京東部エリアで建設業に専門特化し、建設業許可の取得はもちろん、その後の資金繰りや経営改善、事業の成長まで一貫してサポートしています。
20年以上の経営経験を活かし、税理士・社労士・金融機関などの専門家とも連携しながら、建設会社が抱える経営課題をワンストップで支援します。
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