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[持続可能な経営支援]

中小企業の実態を表す修正B/S(貸借対照表)

  • 投稿:2025年01月29日
中小企業の実態を表す修正B/S(貸借対照表)

中小企業のB/S(貸借対照表)は、表面上の数字だけでなく、実態の数値を読み取る必要があります。これは、悪意による粉飾決算だけでなく、中小企業特有のどんぶり勘定的な要素によるものなど、理由は様々ですが、実態と異なる数値が計上されていることがあります。
金融機関も、中小企業から融資依頼を受けた際に提出されるB/Sが、その企業の実態と一致していない可能性があることを理解しているため、金融機関の基準に基づきB/Sを評価し直します。この評価し直したB/Sを「修正B/S」と言います。
今回の記事では、金融機関がB/Sのどの項目に着目し、評価をし直すのかについて詳しく解説していきます。

B/S(貸借対照表)の構成

本題にいく前に、まずはB/Sについて解説いたします。B/Sは、企業の財務状況を一目で把握できる重要な資料です。表の左側(借方)に「資産の部」、右側(貸方)に「負債の部」と「純資産の部」があり、3つの部門に分かれています。表の左右がバランス(合計数字が一致)するため、バランスシートと呼ばれます。

実態財務を見る場合の着目点

実態財務を見る場合、B/Sの「資産の部」の各項目について評価をし直します。そして調整後の「純資産の部」がどう変化するかをチェックします。「負債の部」については、実態とかけ離れた数字が計上されることが少ないため、それ程細かくチェックはしません。

各項目の資産評価のポイント

修正B/Sは、各項目をどう評価するかが重要なポイントとなりますが、特に決まったルールがあるわけではありません。以下に各項目のポイントをまとめしたので参考にしてください。

現預金
預金は、残高証明により確認がされているのでそのまま評価。現金については現実的ではない金額が計上されている場合は、ヒアリングなどして決算時にあったであろう金額に評価し直し。
売上債権
回収不能となっている売掛金や不渡手形がある場合、その金額分をマイナス。※決算書を3期分見て、残高が変わっていない取引先があれば不良債権である可能性が高い。
短期貸付金
相手先が1年以内に全額返済できることが明らかである場合を除き、原則100%マイナス調整。
有価証券
有価証券については、証券会社等から受け取る運用報告等により時価金額を算出
未収入金
営業上の取引のある相手先については売上債権と同様の考え方、そうではない相手先については短期貸付金と同様の考え方により調整
棚卸資産
その計上が適正なのか評価が最も難しい項目の一つ。突然大きく在庫が増えた場合などは、その内容を明確にする必要がある。
土地
不動産鑑定士に評価を依頼するほど正式に行う必要はなく、路線価や公示地価を使用して評価
建物
減価償却不足がないか確認し、減価償却不足がある場合は、法定耐用年数通りに減価償却した場合の金額に調整。建築後20年以上経過している場合には0円で評価する銀行が多い。
その他有形固定資産
土地、家屋以外の事業用資産で構築物、機械、工具、備品など。減価償却不足がないかを確認し、減価償却がされていない場合は、法定耐用年数通りに減価償却した場合の価値に調整。
無形固定資産
電話加入権は0評価。ソフトウェアについては価値を厳しく算定する傾向。
長期貸付金
定期的に返済がされていて、10年以内の完済ペースで行われている場合には額面通りに評価。そうでない場合は、短期貸付金と同様に考える。
その他の投資
保険金積立金は、原則額面通りに評価
繰延資産
繰延資産には、創立費や開業費、開発費、新株発行費、社債発行費などが計上されていますが、これらは原則0評価。

まとめ

修正B/Sを作成してみると、表面上は資産超過(純資産がプラス)だと思っていた会社が、実態は債務超過だったというケースは多くあります。金融機関は融資依頼を受ける際には、修正B/Sに置き換えてその会社の実態を捉えますので、企業側も適切な財務管理を行い、修正の必要がないB/S作りを目指しましょう。これにより、企業は健全な経営を維持し、金融機関からの信頼も得やすくなります。

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