
行政書士
財務コンサルタント
磯村 威暢
2,000万円の負債がある会社を復活させた財務管理力と、採用から資金繰り、設備投資まで、経営者として20年のキャリアで培った問題解決力を活かして中小建設業者の経営をトータルサポート。
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[売上アップ支援]
小規模な建設会社の経営課題は、多くの場合、利益の源泉である「粗利(完成工事総利益)」の確保にあります。つまり、売上高と完成工事原価(変動費)に根本的な問題があり、さらに販管費に無駄があるために固定費がかさみ、利益を圧迫している状況がよく見られます。そのような小規模建設会社にとって、損益分岐点分析を行い、どこをどう改善すべきかを明確にすることが経営改善には欠かせません。そこで今回は、損益分岐点とその分析方法について詳しく解説します。
損益分岐点となる売上高(損益分岐点売上高)を計算するためには、まず固定費、変動費、限界利益、限界利益率を把握する必要がありますので、それぞれの数値について説明していきます。
固定費
固定費とは、売上高の変化に関係なく固定的に発生する費用のことです。人件費や家賃が代表的なものです。一般的に、損益計算書の「販売費及び一般管理費」には固定費が多く含まれます。建設業の場合も同様に考えて問題ありませんが、具体的な費用項目ごとに固定費か変動費かを確認することが重要です。
変動費
変動費とは、売上高の変化に応じて変動する費用のことです。材料費や外注費などが代表的な例です。建設業の場合、工事原価報告書(製造原価報告書)の当期総工事費用(当期総製造費用)から、工事経費に計上されている減価償却費などの固定費に該当する項目を差し引いた金額を変動費と考えます。
限界利益、限界利益率
売上高から変動費を引いたものを「限界利益」と言い、限界利益を売上高で割ったものを「限界利益率」といいます。
損益分岐点売上高とは、固定費を限界利益率で割ったものを指します。理論上、この水準の売上高を達成すれば、損益がイーブン(収支がトントン)以上となります。計算式は以下のとおりです
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
固定費が5,000万円、限界利益率40%の建設会社
5,000万円 ÷ 0.4 = 1億2,500万円
この会社の損益分岐点売上高は1億2,500万円。つまり、この会社は1億2,500万円以上売上れば黒字、それ以下であれば赤字となります。
以上のように、損益分岐点を求めたならば、この分岐点を超える売上高を確保するための販売戦略やマーケティングについて検討していくアプローチと、同じ売上でも、より利益の出る状況にするための対策を検討するアプローチがあります。後者は、損益分岐点を下げるということになります。 上記の計算式からも分かるとおり、損益分岐点を下げるには、固定費を下げる、変動費を下げることが有効です。つまり、より少ない費用で売上をあげる体制を構築するということであり、会社の収益性を上げることにつながります。また、費用を下げるだけではなく、売上単価を上げることが、結果的に変動費率を下げることになり、損益分岐点を下げるための有効な対策となります。
損益分岐点を下げるための対策
損益分岐点を下げるための対策
以上、損益分岐点について見てきました。おそらく、小規模な建設会社の大半が、損益分岐点を意識せずに日々の経営に当たっていると思います。しかし、それが収支がトントンにとどまる要因とも言えます。やはり、しっかりと利益を確保し、安定した経営を目指すならば、損益分岐点を把握したうえで経営判断をしていくことは必須です。今回の記事からも分かるとおり、損益分岐点を算出することはそれほど難しいものではありません。一度チャレンジしてみることをお勧めいたします。自信がない、やってみたけれど分からないということであれば、財務の専門家へご相談ください。専門家のアドバイスを受けることで、正確な現状分析ができ、それが会社の財務体質の強化につながります。
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