CONTENTS

お役立ち記事

[持続可能な経営支援]

リース・割賦のメリット、デメリットについて

  • 投稿:2025年04月13日
リース・割賦のメリット、デメリットについて

企業経営において、数年に一度は直面する大きな設備投資。建設業における車両の入れ替や、製造業における生産設備の更新、情報通信業におけるサーバーの増強など、業種や業態を問わず、その投資額は数百万、数千万円に及ぶため、資金調達は中小企業にとって極めて重要な経営戦略となります。自己資金が潤沢でない場合、まず検討されるのは金融機関からの融資による資金調達ですが、設備の導入という視点に立ち返れば、リースや割賦という選択肢も有力な代替案となり得ます。これらの導入方法は、単なる資金調達手段としてだけでなく、財務戦略や税務戦略においても、金融機関からの融資とは異なる独自のメリットとデメリットがあります。本記事では、設備導入を検討する際に、リースや割賦を賢く活用するための基礎知識として、それぞれのメリットとデメリットについて詳しく解説してまいります。

「設備資金」として融資を受ける弊害

設備投資の際、金融機関からの「設備資金」融資は一般的な選択肢ですが、状況によってはリースや割賦の方が有利な場合があります。特に中小企業の場合、信用保証協会の保証付融資を利用することが多いものの、保証枠には上限があるため、将来的な事業拡大や新たな融資の必要性を考慮すると、安易な保証枠の利用は避けたいという判断も生まれます。このような状況下で、設備の導入という目的であれば、リースや割賦を活用することで、貴重な保証枠を温存し、将来の資金調達への影響を最小限に抑えることが可能です。

リースや割賦は、直接的な資金調達とは性質が異なりますが、結果として手元資金の流出を抑え、資金調達と同様の効果をもたらします。また、保証枠とは別に、企業の借入総額が増加することも避けることができるため、財務体質の健全性を維持する上でも有効な選択肢となります。

「リース」とは?

それでは、まず「リース」とはどういうものなのかを最初に説明していきます。リースにはいくつかの種類がありますが、一般的に「ファイナンス・リース」と呼ばれるものが、設備投資の代替手段として広く活用されています。その基本的な仕組みとしては、会社が業務に必要な物件(機械設備、車両、情報機器など)を選定すると、リース会社がその物件を購入し、会社はそのリース会社に対して、あらかじめ定められた期間にわたりリース料を支払うことで、設備を使用できるというものです。

リース会社は、このリース期間中に、物件の購入費用だけでなく、金利や手数料なども含めた総額をリース料として会社から回収することを目的としています。そのため、中途解約が原則として認められないなどの特徴があります。

リース活用のメリット

設備導入時にまとまった資金が不要

設備導入にあたり、多額の初期投資を抑え、手元資金を大きく減らさずに済むため、資金繰りの安定化に貢献します。また、金融機関からの融資とは異なり、原則として担保を要求されることがない点も、リースならではのメリットです。

コスト管理がしやすい

設備を購入した場合、減価償却費に加え、固定資産税や自動車重量税などの税金、設備の維持にかかる保険料、予期せぬ故障による修理費用など、様々なコストが発生し、管理が煩雑になりがちです。資金繰りが厳しい時期には、これらの突発的な支出が大きな負担となる可能性があります。一方、リース契約では、原則として月々のリース料のみが費用となるため、設備導入にかかるコストを明確に把握しやすく、予算管理が容易になります。

事務処理が軽減される

コスト管理の容易さと同様に、リースによる設備導入では、設備取得後の保険契約手続き、税金の申告・納付、そして将来的な廃棄手続きといった、設備を自社で所有することで発生する煩雑な事務手続きが不要となります。これにより、本来の業務に集中できる環境を維持できます。

リース活用のデメリット

中途解約できない

リース契約は、原則としてリース期間中の解約ができません。そのため、リース期間中に経営状況が悪化し資金繰りが厳しくなった場合でも、リース料の支払いを継続する義務があります。万一、リース料の支払いが滞った際には、リース会社から期限の利益を喪失させられ、残りのリース料を一括で請求されたり、リース契約を強制的に解約され物件を引き揚げられる可能性があります。物件の売却額が未払いリース料に満たない場合、その不足額は契約者である会社に請求されることになります。

融資に比べて割高になる

コスト管理や事務処理の負担が軽減される反面、リース料には、固定資産税や保険料といった物件の維持にかかる費用、およびそれらに関する事務処理費用、さらにリース会社の利益などが含まれているため、一般的にリースの支払総額は、融資を受けて自社で購入する場合と比較して割高になる傾向があります。

物件の所有権を取得できない

リース契約の場合、物件の所有権はあくまでリース会社に帰属し、リース期間が満了しても原則として自社に移転することはありません。リース期間終了後もその物件を引き続き使用したい場合は、改めて再リース契約を結び、追加のリース料を支払い続ける必要があります。

「割賦」とは?

それでは、次に「割賦」を活用する際のメリットとデメリットについて詳しく解説してまいります。その前に、まず「割賦」とはどのような仕組みなのかを明確にしておきましょう。

イメージとしては、クレジットカードの分割払いに近いと考えると理解しやすいかもしれません。割賦販売とは、設備などの購入代金を、契約時に定められた回数に分割して支払う売買契約の一形態です。購入者は、まとまった資金を準備することなく、月々一定の金額を支払うことで、必要な設備を早期に導入できるという点で、リースと同様の効果が期待できます。ただし、所有権の移転時期など、リースとは異なる点もあります。

割賦活用のメリット

設備導入時にまとまった資金が不要

リースと同様に、割賦購入においても、設備導入の初期段階で多額の資金を用意する必要がないため、手元資金の流出を抑え、資金繰りの安定化に貢献します。

対象物件が最終的には自己所有になる

リース契約では、期間満了後も物件の所有権はリース会社に留保されますが、割賦購入の場合には、定められた分割代金を全て支払うことで、最終的に物件の所有権が自社に移転します。これは、将来的にその設備を長期にわたって活用したい場合や、資産として計上したい場合に、リースにはない大きなメリットとなります。自社で長期間にわたり所有し、利用することが適している設備については、リースだけでなく割賦購入も積極的に検討すべきでしょう。

割賦活用のデメリット

中途解約ができない

リース契約と同様に、割賦購入においても、原則として契約期間中の解約は認められていません。また、支払いが困難になった場合のリスケジュール(支払条件の変更)についても、金融機関からの融資と比較すると、交渉のハードルが高くなる傾向があります。

コスト管理が必要

リース契約の場合、設備の購入費用だけでなく、固定資産税や保険料といった維持に関連する費用、そしてそれらの事務手続きはリース会社が負担します。しかし、割賦購入の場合は、これらの費用と手続きの全てを購入した会社が行う必要があります。そのため、コスト管理だけでなく、煩雑な事務作業の負担が増えるというデメリットがあります。

まとめ

以上、設備導入の有力な選択肢として、リースと割賦の活用について、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説してまいりました。設備導入は、企業の成長に不可欠な投資である一方、多額の資金流出を伴うため、慎重な判断が求められる重要な経営戦略です。

今回ご紹介したリースと割賦は、単なる設備の調達手段に留まらず、資金調達の多様化、コスト管理の効率化、そして財務体質の健全性維持といった、多角的な視点から検討すべき経理・財務戦略の一環と言えます。

中小企業経営者の皆様におかれましては、本記事で解説した各制度の特性を十分に理解し、自社の経営状況や将来計画、導入する設備の性質などを総合的に考慮した上で、最適な設備導入方法を選択することが重要です。リースと割賦を賢く活用することで、資金繰りの安定化を図りながら、成長戦略を着実に実行していく一助となれば幸いです。

トップページ
関連記事
リース・割賦のメリット、デメリットについて

CONTACT

お問合せ

ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問合せください。
専門スタッフが丁寧に対応いたします。

03-5655-9002

平日10時~19時(土日祝日は要予約)

メールから相談する

24時間365日受付

LINEから相談する

友だち登録後お問合せください。

対応地域

東京都:
江戸川区・葛飾区・台東区・墨田区・江東区・足立区・荒川区

初回相談は無料です!

CONTACT

お問合せ

ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問合せください。
専門スタッフが丁寧に対応いたします。

03-5655-9002

平日10時~19時(土日祝日は要予約)

メールから相談する

24時間365日受付

LINEから相談する

友だち登録後お問合せください。

対応地域

東京都:
江戸川区・葛飾区・台東区・墨田区・江東区・足立区・荒川区