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[持続可能な経営支援]

企業の資金調達の選択肢。生命保険契約者貸付制度とは?

  • 投稿:2025年05月03日
  • 更新:2025年05月04日
企業の資金調達の選択肢。生命保険契約者貸付制度とは?

資金繰り、資金調達に頭を悩ませる中小企業経営者は、決して少なくないと思います。日々の経営において、予期せぬ支出や事業拡大のチャンスは突然訪れるものです。中小企業の資金調達の王道と言えば、やはり金融機関からの融資が挙げられますが、信用状況の審査や担保の設定など、煩雑な手続きと時間を要することも少なくありません。そのため、急な資金を準備する際には、タイミングを逃してしまうといった側面も否定できません。
そんな、迅速な資金調達を検討する際に、心強い味方となり得るのが、企業で掛けている生命保険を活用する生命保険契約者貸付制度です。この制度を利用すると、担保や保証人を原則として必要とせず、比較的簡単かつスピーディーに資金を調達することができます。中小企業経営者の皆さんは、いざという時のための選択肢として、生命保険契約者貸付制度の仕組みを理解しておくことは、持続的な事業成長を実現するための財務戦略上、非常に重要な意味を持ちます。そこで、今回は生命保険契約者貸付制度の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そして活用する際の注意点について詳しく解説していきます。

生命保険契約者貸付制度とは?

生命保険契約者貸付制度とは、会社が経営者や従業員にかけている生命保険の解約払戻金を担保として、その一定範囲内で保険会社から融資を受けることができる制度です。銀行融資などの一般的な資金調達とは異なり、原則として煩雑な審査や担保提供の手続きが不要となるため、スピーディーな資金調達が期待できます。ただし、借り入れた資金には、保険会社所定の利率に基づいた利息が複利で発生します。この利息は、借入期間に応じて累積していく点に注意が必要です。

一方で、この制度の大きな特徴として、返済の自由度が高い点が挙げられます。多くの場合、返済期日が明確に定められておらず、会社の資金繰りの状況に合わせて、都合の良いタイミングで任意の金額を返済することが可能です。まとまった資金ができた際に一括で返済することはもちろん、貸付金の一部を無理のない範囲で少しずつ返済することもできます。この柔軟性こそが、急な資金需要に対応できる生命保険契約者貸付制度の魅力の一つです。

貸付制度を利用できる生命保険の種類

生命保険に加入していれば、必ず契約者貸付制度を利用できるというわけではありません。この制度の根幹は、保険契約に積み立てられた解約払戻金を担保とする点にあります。したがって、掛け捨て型の生命保険、例えば一定期間の死亡保障のみに特化した定期保険や、満期保険金や解約払戻金が設計されていないタイプの保険契約では、この貸付制度を利用することはできません。

具体的に貸付制度の対象となるのは、終身保険、養老保険、積立型の定期保険など、保険期間の経過とともに解約払戻金が積み上がっていくタイプの生命保険です。これらの保険は、企業の経理処理上、『保険料積立金』などの勘定科目で資産計上されていることが一般的です。

ただし、上述した種類の保険であっても、契約内容や加入期間によっては解約払戻金の額が少なく、貸付を受けられる金額が限定的であったり、場合によっては貸付自体ができないこともあります。

したがって、契約者貸付制度の利用を検討する際には、解約払戻金の有無や金額を事前に保険会社に確認することが重要です。保険証券や契約概要、または保険会社の担当者に問い合わせることで、正確な情報を得ることができます。

貸付制度を利用している間の保障

企業が生命保険に加入する主な目的の一つに、経営者の万が一の事態や事業継続に関わるリスクに備えるという側面があります。それでは、この大切な保障が、契約者貸付制度を利用している期間中にどうなるのか、気になる点でしょう。結論から申し上げると、原則として、保障内容そのものは、契約者貸付を利用しても減額されることなく、そのまま継続します。

ただし、注意しておかなければならない重要な点があります。それは、貸付を受けている期間中に、被保険者である経営者や従業員に保険金の支払い事由が発生した場合の取り扱いです。この場合、支払われるべき保険金から、未返済の貸付金元本とその利息が差し引かれる(相殺される)ことになります。

具体例を挙げます。ある企業の社長が死亡保険金1億円の生命保険に加入しており、その保険契約から2千万円の契約者貸付を受けていたとします。この貸付金を返済する前に社長が不幸にも亡くなられた場合、保険会社から支払われる保険金は、契約していた1億円から未返済の貸付金2千万円と、その期間に応じて発生した利息を差し引いた残りの金額となります。したがって、会社が受け取る保険金は、当初予定されていた金額よりも少なくなることを理解しておく必要があります。

このように、契約者貸付制度は、企業の急な資金需要に対応できる便利な仕組みである一方、保険金支払い時には相殺が行われるという特性をしっかりと認識しておくことが重要です。

生命保険契約者貸付制度のメリット・デメリット

最後に、生命保険契約者貸付制度のメリットとデメリットを改めて確認し、制度利用の判断材料としていただければと思います。

まず、この制度の大きなメリットとして挙げられるのは、中小企業が直面しやすい急な資金需要への対応力です。通常、金融機関からの融資には煩雑な事務手続きや担保提供が求められますが、生命保険契約者貸付制度では、これらの手続きを大幅に簡略化し、スピーディーな資金調達を実現できます。一般的に、貸付の申し込みから概ね数日から1週間程度で資金が入金されるため、迅速な対応が求められる場面で非常に有効です。また、資金繰りが不安定な中小企業にとって、返済期日が明確に定められておらず、資金状況に合わせて柔軟に返済できる点も大きな魅力と言えるでしょう。

しかしながら、注意すべきデメリットも存在します。 借り入れにかかる利息は、金融機関の融資と比較して一般的に高めに設定されている場合が多く、さらに複利で増えていくため、長期にわたる借入は利息負担の増大を招く可能性があります。返済の自由度が高い反面、安易に返済を先延ばしにすると、気づかないうちに利息が膨らみ、結果的に返済総額が大きくなってしまうリスクがあることを十分に理解しておく必要があります。

まとめ

今回は、企業の資金調達における選択肢の一つとして、生命保険契約者貸付制度の仕組み、メリット・デメリット、そして利用する際の注意点について詳しく解説してまいりました。

中小企業経営者にとって、安定した事業運営と成長を実現するためには、多角的な視点からの資金調達戦略が不可欠です。金融機関からの融資は依然として重要な選択肢の一つですが、その特性を踏まえつつ、生命保険契約者貸付制度のような、迅速かつ柔軟な資金調達手段も選択肢として持つことは、不測の事態への対応力や事業機会の獲得に繋がります。

本記事を通して、生命保険契約者貸付制度が、企業の状況によっては有効な資金調達の手段となり得ることをご理解いただけたなら幸いです。

もし、江戸川区、葛飾区といった城東地区で資金繰りや資金調達についてお悩みの中小零細企業の社長様がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。弊所が、それぞれの状況を丁寧にお伺いし、一緒に解決策を見つけていくお手伝いをさせていただきます。

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